日本のプロジェクトに求められること
他国でオフィスを立ち上げた経験があれば、技術面はなじみがあっても、進め方は大きく異なるはずです。日本のプロジェクトはすべて、同じ8つの段階を経て進みます。各段階にはそれぞれ目的があり、省略すれば特定の問題が生じます。
いずれも日本では特別なことではありません。ただ、その多くは、海外から来られた発注者にとってはなじみのないものです。

この順序で進む8つの段階
第3、第4、第7の各段階は、海外の発注者が特に驚くことの多い段階であり、対応が漏れると入居日に影響します。
設計
01
現地調査と要件の確認
フロア、またはご検討中のフロアを実際に歩いて確認し、EPS(縦シャフト)、電源、天井の種類、扉の金物、ケーブル経路の候補、計画時に考慮すべき問題など、現状を記録します。
得られるもの:お客様には事業に必要なことをお聞かせいただき、mtc はそのビルで何が可能かをお伝えします。
省略すると:電源容量、EPS(縦シャフト)のスペース、荷物用エレベーターの寸法を誰も確認しないまま、賃貸借契約を結ぶことになります。
02
設計と図書作成
図面、仕様書、機器リストを、貴社のデザイナー、グローバルITチーム、ビル側のそれぞれが必要とする形式で発行します。また、ご要望の工事について、ビル指定の設計者やベンダーと交渉・調整を行い、mtc の計画を全体計画に組み込みます。この段階で、予算が具体的な数字になります。
得られるもの:お客様に設計をご承認いただき、本社は計画の基準となる金額を把握できます。
省略すると:設計ではなく部屋の一覧をもとに見積もりを行い、施工中に差額が判明することになります。
申請・承認
03
申請・承認とビル側との調整
見落とされがちな点
ビル内で誰がどのように工事を行うかは、ビルオーナーが管理しています。工事許可、作業時間、荷物用エレベーターの予約、工事内容の承認、時間外入館について、ビル側に申請します。いずれも日本語で、ビルが求める形式により、工事予定の数週間から数か月前までに完了させる必要があります。
得られるもの:ビル管理会社、ビルオーナー、その指定業者との対応は mtc が行います。お客様が対応する必要はありません。
省略すると:承認を形式的な手続きと考えてしまいます。申請が却下されて動くのは、予算ではなく入居日です。
04
消防・防災の確認
見落とされがちな点
天井、間仕切り、扉、火災報知設備に関わるものはすべて、発注前に、消防が承認済みの計画と照合します。工事内容の共有や調整が不十分なために、入居の遅れや不許可を招くリスクは避けなければなりません。安全に妥協はありません。
得られるもの:ビルは次回の検査に合格し、オフィスの運営を続けられます。
省略すると:承認済みの避難計画で開放が求められている扉を、入退室管理のために施錠してしまうことになります。
構築
05
調達
実際の納期に基づいて発注します。機器は法令に適合するようローカライズし、サプライチェーンの強靭性とサステナビリティを重視します。日本では、在庫品でも通常1週間ほどかかります。最後に不足分を補えばよいと考えていると、思わぬ事態を招きます。
得られるもの:機器はキッティング済みで、設定、ラベリング、試験を終えた状態で、工事の工程表に合わせて届きます。
省略すると:日本で販売もサポートもされていない製品を指定し、発注の段階になって初めて気づくことになります。
06
施工と他工種との連携
mtc のエンジニアが現場に入り、ビルオーナー指定の電気、衛生、空調の各業者と連携しながら、mtc が作成した仕様書と mtc が管理する施工順序に沿って作業を進めます。設計を担当した者が、そのまま施工の監督と実作業を担います。抜け漏れはありません。
得られるもの:5つの工程表ではなく、1つの工程表で管理します。変更が生じたときの窓口も1人です。
省略すると:順序を管理する者がいないため、4つの工種がそれぞれの期日で動き、現場で衝突します。
07
廃棄物処理と現場での義務
見落とされがちな点
日本の工事現場には、共用の廃棄物コンテナはありません。搬入出の計画は2回分必要です。機器を現場に搬入するときと、廃棄物を搬出するときです。各社が自社の廃棄物を持ち帰ります。建設廃棄物は産業廃棄物であり、許可を持つ収集運搬業者とマニフェストによる管理が必要です。
得られるもの:mtc 分の廃棄物処理は工程と見積もりに含まれており、関連書類も保管します。
省略すると:工事の途中で、廃棄物の搬出を誰も見積もっておらず、しかも急を要することが判明します。
お引き渡し
08
試運転調整とお引き渡し
すべてのシステムを設計に照らして試験し、完了時に竣工図、設定記録、試験結果、資産リストをお渡しするとともに、ユーザートレーニングを実施します。
得られるもの:記録を次の担当者や mtc に渡すだけで、情報が失われることはありません。
省略すると:お引き渡しが鍵と電話番号だけで終わり、次に障害が起きたときは現状の把握から始めることになります。

搬入とキッティング

お引き渡し前の試運転調整
見落とされがちな点
想定外になりやすい5つのこと
いずれも、実際のプロジェクトで影響が出たものです。これらを押さえているかどうかが、電気通信工事業の許可を持つ国内の専門会社による計画的な施工と、手遅れになってから問題に気づくベンダーとの違いです。
言葉の壁は想像以上に大きいものです
現場では、書類から打ち合わせそのものまで、すべて日本語で進みます。週1回の対面の現場打ち合わせは必須で、賃貸借期間の開始とともに始まります。入居の数か月前、場合によっては数年前になることもあります。
一部の業者はビルオーナーが指定し、その工事範囲はお客様の範囲とは別です
専有部内の工事でも、ビルの設備に関わるものは、ビルオーナーが指定した業者が、ビルオーナーの定める単価で行います。どれほど資格があっても他社は施工できないため、設計の見積もり前に工事区分の境界を把握しておく必要があります。これを誤るかどうかが、確定金額で収まるか、追加費用が発生するかの分かれ目になります。
申請・承認はビルの定めるスケジュールで進みます
工事許可、作業時間、荷物用エレベーターの予約、時間外入館は、数週間前までに、日本語で、ビル指定の書式により申請します。いずれも当日の交渉はできません。
納期が工程を決めます
日本の機器の多くは輸入品で、国内在庫は限られています。多くの品目で2〜3か月かかるのが一般的で、調達が工程に従うのではなく、調達に合わせて工程が決まります。
発見が遅れた問題は、解決できるとは限りません
毎週現場に来ていないベンダーは、EPS(縦シャフト)に空きがない、電源が足りない、天井がすでに塞がれているといった事実を、解決できる時期を過ぎてから知ることになります。工程が1週間進むごとに是正の費用は増え、解決策のない問題もあります。
A工事・B工事・C工事
日本のオフィス構築はすべて、誰が発注し、誰が管理し、誰が費用を負担するかによって3つに区分されます。ある作業がどの区分に入るかによって、誰が施工できるか、費用はいくらか、いつ実施できるかが決まります。
A
A工事:ビルの基幹部分
ビルオーナーが発注、管理、費用負担を行う工事です。
B
B工事:貴社の専有部内
テナントが発注と費用負担を行い、ビルオーナーまたはその指定業者が管理、施工を行う工事です。壁、天井、床、造作家具、空調・電気・給排水衛生設備(MEP)など、固定されるものは通常この区分に該当します。
C
C工事:家具とテクノロジー
テナントが発注、管理、費用負担を行う工事です。家具やテクノロジーは通常この区分に該当します。
テクノロジーはC工事ですが、それが取り付けられる部分の多くはB工事です。役員会議室のテーブル下の電源、ディスプレイ背面の下地補強、防火天井の貫通処理などがこれに当たります。海外で作成された見積もりは、通常C工事のみを対象としています。mtc は全体を設計し、ビル側の施工業者向けにB工事の仕様書を作成し、発注前に両方の費用を積算します。
手を抜いても、コストは下がりません
mtc はあらゆる事態を想定して計画し、透明で誠実、かつ現実的なご提案をお届けするよう努めています。そのため、以下の費用をご提案に含めています。見積もりに記載があるかどうかにかかわらず、日本のすべてのプロジェクトで発生するものです。
mtc は品質の高い成果を目指しており、そのために必要なものをご提案に織り込むことで、後になってお客様の負担が生じないようにしています。
夜間・休日作業
ビルの規則により、騒音を伴う作業、搬入、エレベーターの使用が夜間や休日に限られることは珍しくありません。ビルが求める場合は、最初から見積もりに含めます。
必須の打ち合わせ
対面、現地、日本語での参加が必須の打ち合わせがあります。出席も業務の一部ですので、ご提案に含めています。
法令関連の書類作成
工事申請、安全書類、完了記録は省略できません。作成と提出には相応の工数がかかるため、その工数を明示します。
有資格者の現場配置
規制対象の工事では、必要な経験、資格、免許を持つ人員を現場に配置することが法律で求められています。mtc はこうした人員を配置し、その費用を見積もりに含めます。
ひとつのチームが、日英両言語で対応します
英語で
お客様側
貴社のITチーム、ファシリティ責任者、調達チーム、地域統括の経営層は、同じプロジェクトでもそれぞれ異なるものを必要としています。mtc はそのすべての方々と英語でやり取りし、どなたかに他の方への通訳をお願いすることはありません。
[ mtc ]
お客様のチームとは英語で。ビル側とは日本語で。
日本語で
ビル側
ビル管理会社、ビルオーナー、その指定する電気、衛生、空調の各業者、消防、回線事業者。これらとのやり取りはすべて日本語で、mtc を通じて進めます。
ご質問
最初の訪問前によくいただくご質問
可能であれば、賃貸借契約の締結前にご相談ください。電源・空調の容量、EPS(縦シャフト)のスペース、荷物用エレベーターの寸法、利用できる回線事業者、サーバー室のスペースはビルごとに異なり、いずれも後から対処するより事前に確認するほうが費用を抑えられます。
お客様と直接契約します。mtc は自社で建設業許可(電気通信工事業)を取得しているため、規制対象の工事は自社の許可のもとで行い、システムを設計した担当者がそのまま施工します。
申請の段階で判明しますので、同じ要件を満たす代替案をご提案します。申請・承認を第6段階ではなく第3段階に置いている主な理由はここにあります。
はい。日本では満たせない基準がある場合は、早い段階でお伝えします。多くは、製品が日本で販売またはサポートされていないことが原因です。その場合は同等製品をご提案します。
お客様です。竣工図、設定記録、試験結果、資産リストは、サポートを mtc に継続してご依頼いただくかどうかにかかわらず、完了時にお引き渡しします。

